日増しに寒くなって、最近は毎日雪が降るから、めっきり外に出なくなってしまった。
家にいるとエネルギーを使わないから、おじやとか、ジャガイモの蒸かしたものとか、そういうパッとしないものばかり食べてすませていたのである。
ところが昨日は少し暖かく、しかも晴れていたから、外を軽くジョギングしてみたり、家で体を伸ばしたりしていた。
久々に体を動かすと、やっぱりおなかが減ってくる。そこで、晩御飯は豪勢にとんかつを揚げてみたわけである。
ちょうど冷蔵庫にはヒレとバラのブロックがあったので、これらを切り分け、叩いて伸ばす。
塩コショウをして小麦粉、卵、パン粉を付け、油を熱した大きな鍋に流し入れる。
触らずにじっと待って、5分もすれば、途中で裏返さずとも花立ちよく揚がっているから、バットに立てかけ、油をきる。
油が少ないと途中で裏返して両面揚げ色をつける必要があるが、そうするとパン粉がうまく立たない。
さて、きれいに上がり、油をきって少し冷めたら、とんかつを切る。
切るのにもコツがあって、包丁を何度もスライドして切っているようではパン粉が肉から剥がれてしまう。
大きな包丁で、一思いに、エイッと切ってしまおう。
カツを立てかけている間に、ソースを作る。
ソースと言ってもフレンチのソースのような気合の入ったものを作る必要はない。
とんかつの方にしっかり気合を入れたのだから、ソースは片手間で構わない。
最も簡単なのは、市販のソースをそのまま掛けることで、これも悪くないが、簡単にソースは作れるのだから、どうせなら作ってみることにする。
適当な鍋にウスターソース、少しのケチャップ、からしを入れ、温めながら煮詰めるだけである。
分量などどうでもいいから、適当にやろう。
好みで、これにみそやゴマを加えても良い。
それを別で準備したごはん、みそ汁、そして千切りのキャベツや短冊切りのトマトと盛り付ければ立派な定食になる。
さて、一人暮らしの揚げ物ほど面倒なものもないものだと、揚げ物を食べながら考えていた。
一人分の揚げ物だと油がもったいないし、後処理も甚だ面倒である。
油が跳ねて、キッチンを後から掃除しなくてはならないのも、敬遠する理由だろう。
それでもたまにはがっつりとんかつや唐揚げが食べたいから、一人暮らしはスーパーの半額惣菜に頼りっきりになるのである。
しかし、スーパーの惣菜は消費期限が近くなった食材を使っているという話も聞くし、何が入ってるか分からないから、人によっては体調を崩すことになる。たまに食べる揚げ物くらいならいいかも知れないが、それでもあまりいい気持ちはしないだろう。
そこで、揚げ物も、自分できちんとつくることを勧めたい。
自分で揚げ物をする際のネックは以下の
①油の大量消費
➁料理後の油の処理
③惣菜のほうがおいしい
の3つくらいじゃないだろうかと思う。
「①油の大量消費」の対策として、最近では、少量の油で揚げ焼きにすることがTVでもネットでも紹介されており、それならば確かに経済的な負担は小さい。
しかし、カツレツならばそれでもいいが、とんかつでそれをやるのはいただけない。とんかつを少量の油で揚げようとすると、途中で返す必要があるからだ。とんかつやコロッケの衣ははがれやすく崩れやすいうえに、途中で裏返すと衣が潰れて花立が悪くなる。
さらに、油の量が少ないと油の温度が下がりやすく、安定しない。油の温度が適切でないと、衣が焦げたり、揚げ過ぎたりしてしまう。油跳ねが多いのも、温度が適切でないことと関係がある。
要するに、けちけちして少ない油で揚げようとすると、失敗しやすいということだ。料理の上手な人や慣れた人ならうまく作れるけども、見た目はよくならない。揚げ物初心者であればなおさらたっぷりの油を使おう。その方がおいしく作れ、料理も早く上達する。
しかし、大量の油を使えば油跳ねは少なくなるけども、経済的ではないし、なにより油の後処理が大変である。
「➁油の後処理」に関しては、薬局で売っている様々な商品の力を借りよう。油を吸わせてそのまま捨てられるもの、薬で油を固形化できるもの、など現在では様々な手段がある。
キッチンの周りに油が跳ねていれば、キッチンペーパーにアルコールを吹きかけて拭けばよい。アルコールも、商品のラインナップは豊富である。
さて、油をたっぷり使うことに抵抗があるのは、仕方ない。なんとなく地球環境に悪そうだし、食費にも気を遣う。
ただ、たまに食べる揚げ物なのだから、費用が高くつくのは目を瞑ろう。贅沢は息抜き、息抜きは正義だ。
油の処理にかかる費用と油の値段を合わせてもせいぜい100円程だから、家計が破綻するほどではないだろう。
スーパーで惣菜を買ったほうが安いからと家で揚げ物をしなくなったら、未来の子供はお母さんの唐揚げの味も知らずに育つことになり、それはそれで、かわいそう。
そんなわけで、家でも揚げ物をしてもいいじゃないかと、そう思う。