もう冬も更けて、旬とは言えないけれど、さんまを食べることにした。
スーパーに行けば、冷凍でも生でも一尾100円くらいで売ってあるから、安いものだと思う。これが大学生御用達のやよい軒でも定食で1000円弱するのだから、やっぱり自炊はいい。
さて、最初は買ってきたさんまを塩焼きにしようと思っていた。
でも、さんまの塩焼きは秋に飽きるほど食べていたから、他の食べ方を考えてみる。
竜田揚げ、かば焼き、炊き込みご飯・・・。
どれもいいけれど、この間揚げ物をしたばっかりだったし、炊き込みご飯もかば焼きも、一度焼くのは塩焼きと大差ないような気がした。
それで、煮魚にすることにしたのである。
さんまをそのまま煮つけにすると臭みがでそうな気がしたから、梅を一緒に煮ることにする。
鱗、内臓を出したさんまをぶつ切りにして、50度ほどのお湯にしばらくつけて霜降りする。50度のお湯を作るのは、電気ケトルで沸かしたお湯に少しの水を注げばちょうどいい温度になるから、伊崎は普段からそうしている。
さて、肝心の煮る作業に移る。
鍋に、酒、水、醤油、味醂、砂糖を5:5:1:1:1くらいの割合で入れる。
さんまのぶつ切りを入れて、火にかける。
灰汁が出てきたらまとめて取って、そのあとに梅を入れよう。
あとは、10~15分でタレがトロっとするように加減しながら煮るだけである。
伊崎はさんまの梅煮を少し濃く作る。かれいやイトヨリダイは優しい煮魚にするけれど、油の乗ったあじやさんま、さばなどの青魚はコッテリ仕上げるのだ。
さて、今日のごはんができたわけである。
伊崎は島育ちだ。だから、肉より魚が好きで、最近の若者の魚離れとは逆の路線を突き進む。
けれども、大学生の友達と、たまたまさんまの話になると普段魚を食べない人が
「さんまは塩焼きに限るよね~」
ということを口にする。
もちろんさんまの塩焼きはうまい。毎年逃さず食べたい秋の味覚の一つであると、伊崎だって心得ている。
しかし・・・
さんまのおいしい食べ方は、他にもたくさんあるはずだ。
焼く、煮る、揚げる、炊き込む。
近年の若者の魚離れを助長しているのは、子どもの頃に親が魚のおいしさを伝えきれていなかったからではないだろうか。
さんまは塩焼きに限る、というのは、実は塩焼きしか知らないだけかもしれない。
なんて、思ったりした。
どうでもいい話でした。